陽だまりのような時間

「苦しくない?」という呼びかけに、目を閉じたまま頷かれる患者さま。

入院されるまで一人でもよくお出かけし、ご友人とお食事してくるというアクティブな92歳。

今日は久しぶりにくーちゃん(猫)とのご対面です。

動物が大好きで、ご家族と一緒にたくさんの猫をかわいがっていたそうです。

この方に「何かできることはないか?」とカンファレンスで何度も話し合い、

今まで何度も一時帰宅や外出を計画しましたが

「家に帰りたい。でも、苦しい・・・。」と体調がととのわず断念してきました。

ふとした会話の、「猫に会いたい」という一言で、一気に準備を進めました。

感染対策のため病室に猫を入れてあげることができないため、

ベッドのまま入れる別の部屋を準備してくーちゃんを待ちます。

どこに連れてこられたのか、不安そうな鳴き声のくーちゃん。

バスケットからもなかなか出てくることができません。

ご家族の援助のもと、そっと撫でたりするうちに少しずつ慣れてきたのか、

患者さまの胸元で丸くなり、細い腕の中で気持ちよさそうにしていました。

慣れた手つきで何度も何度も、確かめるようにくーちゃんを撫でる患者さま。

表情も穏やかで微笑んでいるようにも見えました。ご家族の嬉しそうな笑顔に

囲まれて、ポカポカした陽だまりのような時間を過ごすことができました。

 

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