認知症や終末期の患者さまが多く入院されている療養病棟では、昼夜を問わず奇声を上げられる方や不安が強く繰り返しナースコールをされる方がおられます。
こうした患者さまに、少しでも穏やかな気持ちで過ごしていただけるようにと「タクティールケア」を導入しました。
タクティールケアとは、患者さまの手足や背中をなでるように触れ、やさしくマッサージすることで患者さまのストレスや不安を軽減するケアのことです。
当初はその効果について半信半疑だったものの実践してみたところ、ある認知症の患者さまで、寝たきりで絶え間なく奇声を発していた方がタクティールケア4回目以降から奇声がほとんどなくなり、以前あった手の硬直が緩み動かすようになりました。
声かけに反応しなかった患者さまがケアを始めると、言葉を発せられるようになったり、夜眠れずにおられた患者さまが、ぐっすりと長い睡眠が取れるようになったりしました。
また、退院されるご家族からも「これなら続けることができる」と好評です。
私たちも「触れる」ケアの重要性に気づくきっかけになり、改めて「よりそう看護」の力を感じました。